「若者よ、きみを推薦できるたった一人の人物を知っているかい?」エマソンは言った。「なんですって?それは誰ですか?」「君自身だよ」 ある若者がエマソンのもとを訪ねて、自分が立派な講演者であることを保証してほしいと頼んだ。エマソンのお墨付きを得られれば、堂々と講演者として成功できると信じていたのだろう。その時のエマソンの返答が、上の言葉だ。エマソンの息子のエドワードがこのエピソードを書き残している。 若者は「それは誰ですか?」と尋ねた時点で、また別の、もっとぴったりな権威ある人物の名前が挙げられることを期待しただろう。あるいは、もしエマソンがお墨付きを与えれば、それなりにうまくやっていったかもしれない。しかし、その若者はいつまでも外に権威を求め続け、決して自分の中にある権威には気づかなかっただろう。ほんものの自分という誰にも何にも代えがたい権威に。 ほんものの自分は神と直結しているとエマソンは考えていた。それは、「オレ、神!」というような自己至上的な考えとは真逆で、そうした自己中心的な小さな自分を捨てた時にあらわれる。そのほんものの自分こそが、その人にお墨付きを与えるのだ。職業は何であれ、どういう状態であれ、その人の存在に対する絶対的なお墨付きを。 #
by kayangarden
| 2023-09-06 14:50
柴犬さくらの散歩で、小高い場所にある竹林に入った。
ほーん、ぴー、ほぉーん、ほぉーん、ひゅー 風にしなる竹のぶつかり合うカラカラという乾いた音に混じって、断続的に何かが鳴っている。音のする方へ行って目を凝らしてみる。 竹だ。縦に数メートルにもわたって割れ目が入っていて、そこに風が吹き込んで音を出しているのだ。音は竹の太さや割れ目の大きさで変わるのだろう。 15年以上来ているが、竹が奏でる音を聞いたのは初めてだ。最近竹林の一部が伐採されて住宅地が造成されたので、以前より林に風が入りやすくなったのかもしれない。 スペインのサグラダファミリアは、地中海から吹いてくる春一番が、あの無数の穴に吹き込むと、教会全体が巨大な一つの楽器になるように設計されていると聞いたことがある。 人間が聞き取れる音の範囲は限られている。もしかしたら動物や虫たちは、空気を満たす荘厳なシンフォニーをいつも聞いているのかもしれない。
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by kayangarden
| 2022-11-06 16:10
I make it my business to extract from nature whatever nutriment she can furnish me though at the risk of endless iteration I milk the sky & the earth. -- H. D. Thoreau
自然が与えてくれる栄養ならどんなものであれ、それを自然から引き出すことを私の仕事としよう。たとえそれがどんなに同じことの繰り返しになろうが、私は空と大地から乳をしぼる。 ― ソロー 最後の "I milk the sky & the earth." という文章の、何と素敵なことか! 「乳を搾る」ことを意味する "milk" という単語は、始めの方に出てくる "extract" (「引き出す、抽出する」)と同じ意味で使われているが、ソローにとって空や大地は、生きていくために必要な滋養豊かな「乳」を出してくれる存在なのだ。 自分を取り囲む風景の至るところから栄養たっぷりの「乳」を飲むことができれば、心はいつも満たされるにちがいない・・・ケップ・・・おっと、失礼! #
by kayangarden
| 2022-08-27 01:16
自分の心を信じるほどに、他人のことも信じられるようになる。 ― エマソン By trusting your own heart, you shall gain more confidence in other men. -- R. W. Emersonこの言葉を「自分を信じられない人が他人を信じられるわけがない」と受け止めると、ちょっと違う気がする。 エマソンの「自分」は、自己中心的な自分ではない。エマソンは自分の中にも他のひとの中にも同じように神が存在する(=God within 内なる神)と考えていたから、trustする(=信じる)ことは、本を読んだりエライ人の話を聞いたり、努力して達成できるものではないのだろう。 むしろ、「自分について」なんて頭で考えなくなっている時こそ手に入れられるように思う。草原にどっかり大の字で寝ころんで、遠くから吹き寄せてくる風に揺れる草の波音や、頭上高くさえずっているひばりの声に穏やかに心弾ませているような、大らかな解放感にすっかり身を委ねているような時にこそ。信じられる自分は手の届かない遠いところにではなく、自然とともに今ここにいる。 #
by kayangarden
| 2022-08-25 23:05
ひとが神とともに生きる時、その人の声は、ささやくような小川のせせらぎや、風に吹かれたとうもろこしの葉がこすれる音のように、心地よいものになるだろう。 ― エマソン When a man lives with God, his voice shall be as sweet as the murmur of the brook and the rustle of the corn. --R. W. Emerson 神とともに生きる・・・何とも畏れ多い感じがするが、エマソンは「すべての人の中に神がいる」と考えた人だから、ほーっと自然な自分に帰らせてくれる存在として神をとらえていた気がする。自分がここにいることは、小川のせせらぎや、とうもろこしの葉擦れの音とおなじように、限りなく自然で心地よいことなのかもしれない。 #
by kayangarden
| 2022-08-17 00:32
|
by a.kuroyanagi
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